2013/11/29

インセインとピーマン(1)

ヤンゴンのインセインは刑務所でも有名だが,大きなカレン人居住地があることでも知られている。

ここは1949年にビルマ軍とカレン軍(カレン民族防衛機構)との間で非常に大きな戦闘が繰り広げられ,多くのカレン人が亡くなった場所でもある。

ビルマにいる間,そこに暮らすあるカレン人がわたしを家に招待してくれたので,久しぶりにインセインに行った。

雰囲気はヤンゴンの他の部分と少し違う。ひしめく家々の間を車一台通れる分の細い道があたかも敵の侵入を妨げるかのようにくねくねと蛇行分岐している。確かに防衛的な意図もあるにちがいない。しかし,戦争後インセインに住み着いた多くのカレン人が狭い土地に家を建てているうちにそんな町並みになったのかもしれない。

ただしインセインのカレン人居住地が他のところより貧しいとか,汚いとか言うことはできない。暮らしそのものは,ビルマの普通のものだ。ただし,仏教徒ではなくキリスト教徒のそれだが。

さて,わたしを招いてくれた女性の家は,素晴らしく立派なものだった。敷地に入るや否や,広く開け放たれた玄関とその両脇の神殿風の円柱が目に入った。

「さあ! この宮殿で貴婦人(レディ)がお待ちかねです!」 同行してくれたあるカレン人はそう告げる。

玄関前の車寄せに止められた車から出たわたしは,玄関ポーチの階段を1段,2段……まるで瀟洒なホテル!

そして,玄関口には,おお,レディが姿を現し,わたしを招じ入れながら喜びの声を上げる。

「あ〜,ぜんっぜん変わってないね〜! 別れた時と同じだよ〜!」

日本語だ。