研修生のパスポートを取り上げる、などというと、ずいぶんあくどい人間がやることのように思われるが、その研修生がいうには、社長さんはいい人で、とくに悪い印象はないとのことだった。
それで、推測するのは、パスポートを取り上げること自体が、研修生受け入れ先で当たり前に行われているのではないかということだ。
つまり、社長もそれを研修生の面倒を見る行動の一環として、特に悪意なく行っていたと考えられる。
おそらく、先に触れた怪しい媒介団体がそのようにしてくださいといったものもを、社長も「そういうものか」と受け入れたにちがいない。
あるいは国際研修協力機構そのものがそんなことを言っているのかもしれない。「パスポートは一括して管理したほうがいいですよ」というような形で。もちろん、おおぴらにではなく。
いずれにせよ、パスポートの取り上げ問題は、個々の受け入れ先の問題、事業主の性質の善悪の問題に還元できるような問題ではなく、制度運用の問題として捉えるべきことなのだろう。