ビルマ国内で用いられている文字には大まかにいって2つの系統がある。
ひとつはインドのブラーフミー文字に由来するもので、モン語、ビルマ語、シャン語、カレン語などがそれぞれの言語に適応させてこれを用いている。
もうひとつはいわゆるローマ字で、カチン人の諸言語やチン人の諸言語がこれで表記されている。
もっとも、ブラーフミー文字もローマ字も起源は一緒で、古代の中東で使われていた文字体系にさかのぼる。
ローマ字のほうは、 英領時代にアメリカ人宣教師によってもたらされたもので、この文字体系を用いるチン人とカチン人にキリスト教徒が多いのと無関係ではない。
文字体系の優劣は一概にいえることではないが、少なくとも現在のインターネットの世界ではローマ字、特に英語の文字体系が標準なので、これはローマ字系の文字体系をもつチン人とカチン人には大いに有利に作用している。
もちろん、ビルマ文字などを用いることも可能だが、その簡便さは比べものにならない。
あるチン民族がインターネットでチャットをしながらこんなことをいった。
「こんなふうにチン語で言葉のやりとりをしていると、事情を知らないビルマ人が驚くよ。お〜すごい、英語でチャットしてるって!」