ドイツで難民認定されたTさんはフランクフルトの寿司屋で働いていた。
かなりの人気店だったそうで、週に同じ魚を36本も捌いたことがあるという。もっとも、それがどれくらい多いのかは分からないが。
ドイツではどんな変わった寿司があるのですか、と尋ねたら、申し訳なさそうに「日本ではありえないけど、ピーマンの寿司かな」と答えてくれた。
握りか細巻きか軍艦かは聞きそびれたが、カッパ巻きを考えれば、決して「ありえない」味とはいえない。むしろ、歯ごたえと苦みでけっこう美味いかもしれない。
回転寿司のメニューにあっても良さそうなものだが、ざっと調べた限りみあたらない。 ということは少なくとも一般的ではないのだろう。
ところで、河童といえば謎に満ちた生物である。ドイツにおいてこの謎に匹敵するのはカスパー・ハウザーを措いてない。
ゆえに、ピーマンをネタにしたこの新種の巻き寿司を「カスパ巻き」と呼んだらどうかと提案したい。