2013/06/04

ネズミ,ウナギ,サル,ウシ,ブタ

ネズミ,ウナギ,サル,ウシ,ブタ各位

先日,都内某所のマンションの一室にて,わたしの友人であるカレン人らとともに,諸君を食したことをここに告げんとす。

ネズミよ

汝はかつてエーヤーワディ・デルタの田畑に在りしとき,人間たちが収穫するよりさきに,米や豆をたらふく食べ,たっぷりと脂を身につけたのだが,それが却って汝の身の災いとなったのである。

汝の肉について一言すれば,それはビルマにおいてすでに唐辛子をたっぷり混ぜたうえ油でしっかり調理され,冷凍状態にて運ばれてきたものであり,やや硬くパサつき,小骨多かったものの,生前汝の貯えし脂の滋味を味わうには十分であった。

町中のネズミとは異なり,自然を駆け巡りし汝の身体,清浄無垢にして食用に最適である旨,ここにあえて注記するは,汝及びカレン人の名誉を重んずるがゆえなり。


ウナギよ

汝もネズミと同じく,いやもっと多くの唐辛子とともに調理されて,ビルマの地より招来されたものであり,確かにおいしかったが,もしこれが蒲焼きならば,という思いがわたしの心中をよぎらなかったかといえば嘘になるといわざるを得ぬことこれ必定なり。


サルよ

コートゥーレイのジャングルを迷惑せる汝を捕らえしはこれカレンの猟夫なり。しかるに彼,汝の肉の代わりにその胃の内容物を穫りてこれを牛肉と煮込む。その匂い独特にして,クサヤの干物を越えること数万由旬,糞の一歩手前なり。却ってこれが食欲をそそること,げに不可思議無量の妙理なり。


ウシよ

汝,モツとしてサルの胃の中身とともに煮られ,その香を身に纏いて食卓に現れたるやよし。

ブタよ

汝,単なる業務用ソーセージとして食われたり。

2013/06/03

ミャンマー政府とカチン独立機構(KIO)との間の7か条協定

(以下の仮訳のもととなった英文はJinghpaw Kasaの記事による。なお合意文書の写真も同じブログで見ることができる—訳者)

ミャンマー政府とカチン独立機構(KIO)との間の7か条協定
(2013年5月30日,ミッチーナー)
翻訳:ムーゾウ(大統領府)

連邦平和作業部会とカチン独立機構(KIO)との間の協定

1.ウ・アウンミン大臣率いる連邦平和作業部会代表団は,2013年5月28日から2013年5月30日の間,ミッチーナのマナウ広場のマジョエガウクヌにおいて,スムルッ・ガム氏率いるカチン独立機構(KIO)代表団と和平交渉を行った。この和平会議には以下のオブザーバーも参加した。国連事務総長ミャンマー特別顧問ヴィジャイ・ナンビアール氏,中華人民共和国首席公使の陸治氏,8つの非ビルマ民族武装組織からの代表,10人のカチン民族団体指導者。

2.永続する平和の構築を保証する政治的合意を達成するという目的のもと,双方の代表たちは,証人の前で以下の条項に関して合意した。

(a)ミャンマー政府とKIOは政治的対話を開催することに合意する。

(b)双方は敵対的関係の縮小と停止を達成するための努力に取りかかること合意する。

(c)双方は共同監視委員会の設立に原則的に合意する。

(d)双方は,相互協議に基づいて引き続き国内避難民(IDP)たちの救援,復帰,再定住を行うことに合意する。

(e)双方は部隊の再配備に関する軍事上の協議を続けることに合意する。

(f)双方は,和平プロセスのために必要な措置がより効果的にとられるように,ミッチーナーを拠点とするKIO専門チームを設置することに合意する。

(g)双方は,今後の交渉において2013年5月28日〜30日に開催された和平交渉に出席したすべてのオブザーバー団体の代表の参加を引き続き許可することに合意する。もし双方が,さらにオブザーバーを追加して招待したい場合,双方は,相互協議に基づいて追加されるオブザーバーを招待することに合意する。

3.ビルマ政府とKIOからの以下の代表たちが,以下の会議に参加した証人の同席のもと協定に署名をした。

(署名部分は略,以下もとの英文)

Seven Points Agreement between Myanmar Government and KIO
(2013 May 30, Myitkyina)
Translation by Hmuu Zaw – President Office

AGREEMENT BETWEEN THE UNION PEACE WORKING COMMITTEE
AND THE KACHIN INDEPENDENCE ORGANIZATION (KIO)

1. The Union Peace Working Committee delegation led by H.E. U Aung Min held peace talks  with the Kachin Independence Organization (KIO) delegation led by U Sumlut Gam between  May 28, 2013 to May 30, 2013 at the Majoi Gawk Nu on Manau Wang in Myitkyina. The  peace meeting was also attended by the following observers: Mr. Vijay Nambir, Special  Advisor to the Secretary General of the United Nations on Myanmar; Mr. Lu Zhi, Deputy  Chief of Mission from the Embassy of the Peoples’ Republic of China; representatives from  eight (8) ethnic armed groups; and ten (10) Kachin community leaders.

2. With an aim of achieving political agreements that guarantee the building of lasting peace, representatives from both delegations agree to the following terms in the presence of  witnesses.

(a) The Government of Myanmar and the KIO agree to hold political dialogue. 

(b) The Parties agree to undertake efforts to achieve de-escalation and cessation of hostilities.

(c) The Parties agree in principle to establish Joint Monitoring Committees. 

(d) The Parties agree to continue to undertake relief, rehabilitation, and resettlement of the Internally Displaced Persons (IDPs) in consultation with each other. 

(e) The Parties agree to continue discussions on military matters related to repositioning of troops. 

(f) The Parties agree to the establishment of a Myitkyina-based KIO technical team in order to undertake necessary measures for the peace process more  effectively. 

(g) The parties agree to continue to allow the participation of representatives of all observer groups that are present in the peace meeting held on May 28-30, 2013 for the upcoming meeting. If either Party wishes to invite additional observers, the Parties also agree to invite these additional observers in consultation with each other. 

3. The following representatives from the Government of Myanmar and the KIO signed this Agreement in the presence of the following witnesses in attendance.

2013/06/01

カチンランド戦争から2年(6月7日のイベント)

カチンランド戦争から2年(6月7日のイベント)

「和平交渉はまだ始まったばかり,本当の平和への道のりは遠い」(ピーター・ブランセン)

17年間の停戦合意を破棄して,ビルマ政府軍がカチン独立機構(KIO)を攻撃してから2年を迎えます。

2013年5月30日にはビルマ政府軍とKIOとの間に停戦合意が結ばれたことが報じられました。ですが,これは戦争の終わりではありません。ただ,戦争を終わらせるための話し合いが始まったに過ぎないのです。ビルマ軍によるカチン民族への攻撃は今なお続いています。

KIOとともにカチン民族のために活動している在日カチン民族は,カチン民族への攻撃が再開されて2年目となるこの日,世界中のカチン民族とともにカチン・グローバル・デー・オブ・アクション(カチン民族のために世界中で働きかける日)を開催いたします。

世界中のカチン民族が,カチン民族の命を守るため各国政府・機関に働き掛けるこの日,在日カチン民族は以下のイベントを開催いたします。

カチン民族,ビルマの現状,平和と民主主義に関心を寄せるみなさまの連帯と協力を心からお待ちしております。

【6月7日(金)のプログラム】

1)カチン・グローバル・デー・オブ・アクション
在日カチン民族が国連大学(UNハウス)前でアピール活動を行います。

時間:午後3時〜午後5時
場所:国連大学(UNハウス)前(東京都渋谷区神宮前5-53-70)

2)報告会:「戦争はまだ終わってはいない〜停戦合意の意味するもの」
内容:
①停戦合意とカチン民族の現状
ピーター・ブランセン(カチン独立機構(日本)会長)
停戦合意に至るまでの過程を振り返りながら,今回の合意の成立の背景と,カチン民族の現状について解説します。

②ヤンゴンのカチン・コミュニティ
熊切 拓 (ビルマ・コンサーン共同代表)
今年2月に撮影した映像をもとに,ヤンゴンのカチン・コミュニティと,カチン民族の孤児院の現状を報告します。

時間:午後6時〜8時
場所:公益財団法人早稲田奉仕園101会議室
参加費:無料

連絡先:
ピーター・ブランセン:080-4670-7788
ビルマ・コンサーン(熊切):cyberbbn@gmail.com

2013/05/31

指導者というものは

カレン人の仲間のところで飲んでいたら,かっこいいTシャツを着ているのに気がついた。

「それ,マンシャじゃないすか」

「そうだよ」

敬意を込めてパドー・マンシャと呼ばれるマン・シャラパンはカレン民族同盟(KNU)の事務総長で2008年2月に暗殺された。

わたし自身,何度も会ったことはあるが,親しく話したことはない。

彼はカレン人の融和のために働いた人で,タイのメソットにあった彼の家はすべてのカレン人に開かれていたという(わたしも行ったことがある)。だが,そのオープンな態度が暗殺者の接近を許したのであった。

もっとも,2月にカレン州を訪問したさい,わたしは彼について別の見方のあることも聞いた。どちらが本当かは分からないが,興味深いことだ。

いずれにせよ,彼はTシャツになるほど多くのカレン人に崇拝されており,今のところもっとも最近の英雄の1人と言っていいだろう。

わたしがそのTシャツに目をつけたことを知ると,別のカレン人が余りがあるからあげると言ってくれた。彼はさっそく自宅に探しにいってくれたが,残念ながらなかった。

そんなわけでわたしは写真を撮らせてもらった。

"A Leader Must Have Gone Through A Historic Time in Life"

という彼の言葉は「指導者というものは人生において歴史的な時間を切り抜けねばならぬ」というような意味だろう。

停戦

カチン独立機構(KIA)とビルマ政府軍との間で戦争が始まってもうすぐ2年になる。カチン独立機構(日本)KNO-Japanは6月7日に停戦のアピールを行う予定で,わたしも声明文を訳したり,集会の準備をしたりしている。アピール活動のプラカード用の写真やスローガンを書いた紙の製作も頼まれていて,けっこう面倒くさい。

ところが,今日,双方の間で停戦合意が成立したとのニュースが流れた。

そこでわたしはKNO-Japanの代表のピーターさんに電話をかけた。

ピーターさん「この間頼んでおいたデモ用のプラカードできた?」

「いや,まだですけど」

「え,まだ作ってないの」

「ていうか,停戦でしょ。もうデモだなんだやらなくたっていいじゃないすか」

「ああ,それか! 停戦っていったって,ありゃ紙の上だけ,ビルマ軍は相変わらずカチン人を攻撃してるよ!」

そうそう楽はできない。

で,6月7日のプログラムの詳細に関しては,明日あたりに書きます。

2013/05/29

横浜支局収容所

東京入国管理局横浜支局の収容所の状況についてだが,この日釈放された人の語るところによれば,ブロックは少なくともABCの3つ。Aは非喫煙者,Bは喫煙者,Cはおそらく女性専用とのことだ。

彼が収容されていたのはAブロックで,10ほどの収容房がある。彼の房は6人部屋で,人数分のベッドが並んでいた。しかし,そこに収容されていたのは,3人だけだった。床は畳ではない。

1日の生活はおおよそ次の通り。

7:00 起床・朝食(パン・卵・牛乳)・点呼
9:30〜11:30 フリータイム
11:30 昼食(和食の弁当)
13:30〜16:30 フリータイム
16:30 夕食
22:00 消灯・就寝

フリータイムのあいだは房の扉は開放され自由に行き来できる。シャワー・洗濯もこの時間に行う。 運動場の利用もできるが,今日が午前なら,明日は午後というように決まっている。

被収容者の国籍は,中国,韓国,アメリカ,ナイジェリア,ブラジル,フィリピン,イラン,ペルーなど。ビルマは彼の他にもう1人いたが,彼より先に出た。

不法滞在が収容の理由となっている人はむしろ少なく,刑務所から入管に移されてきた人,あるいは結婚しているのに配偶者ビザが降りない人が多いという。

難民認定申請中なのは,イラン,ビルマ,フィリピンの人だそうだ。

最後に,庁舎内の来訪者向け案内板をここに書き写す。もちろんのこと,ここには収容所に関係する一切は記されてはいない。

3F
企画管理・調査部門     Planning, Management and Investigation Department
処遇・執行部門       Detention and Deportation Depertment
審判部門          Adjudication Department
 仮放免窓口        Provisional Release


2F
申請受付窓口        Application Window
 申請受付         Application Reception
 証印           Approval of Permit
 再入国          Re-entry
 証印転記         Transfer
 難民支援担当窓口     Information and Consultation for Refugee
 行政相談         Consultation and Information
インフォメーションセンター Information Center
総務課           General Affairs Division
 行政相談         Consultation and Information
 情報公開窓口       Disclosure and Other Matters
会議室           Conference Room

1F 
面会窓口          Visiting Detainees
(一行分テープが貼られて隠されている)
売店            Shop
 収入印紙         Revenue Stamps

2013/05/28

秩序と静穏

(東京入国管理局横浜支局で次のような張り紙をたびたび見かけたので,一応参考までに。はじめの1文は赤字。2013年5月27日)

次のいずれかに該当する場合は,その行為の中止又は庁舎敷地内及び建物内からの退去を命ずることがあります。

1 正当な理由がなく,みだりに庁舎敷地内又は建物内をはいかいする者

2 職員に威勢を示し,面会を強要する者

3 座り込み,立ちふさがり,練り歩き,その他交通の妨害をする者

4 示威行為等のために多数で集合する者

5 みだりに張り紙,落書き等をする者

6 寄付の強要又は物品等の押し売りをする者

7 その他庁舎敷地内又は建物内における秩序と静穏を害する者

東京入国管理局横浜支局庁舎管理責任者