2011/10/24

うかれすぎだろ(チュニジアレポート8)



街で見かけたミニッツメイドの宣伝。

---------------------------------------

手に手を取って、明日のジュースを選ぼう!

リスト番号1 人民パイナップル党
リスト番号2 進歩マンゴー党
リスト番号3 グアバ緑の党
リスと番号4 自由オレンジ運動

---------------------------------------

便乗にもほどというものが。

しかし、このセンスがチュニジア人のいいところ。

リスト(チュニジアレポート7)

リスト(liste)というのは各政党(もしくは政党の連合体)が提出する候補者名簿のこと。

リストには、政党のシンボル、候補者名、顔写真、リスト番号などが特に決まった様式なく記されている。リスト番号というのが重要で、有権者は投票するときにこの番号にチェックを入れる。

投票用紙にはまた政党のシンボルも記されていて、それをたよりに票を投じることもできる。文字の読み書きが不得意な人のための配慮だ。

シンボルはアリ、ハチ、ハト、天秤、鍵、眼鏡、ナツメヤシの実、船などいろいろだ。眼鏡は党首が眼鏡を着用しているからだそうで、キャンペーンとして紙製の眼鏡を配っていた。この眼鏡党(もちろん正式名称ではない)、有力視されている政党の一つだ。

リストに記された候補者名には順位があって、各リストの得票数によって当選者が決まる。もっともそれだけではなく、もう少し複雑なルールがあるようだがわからない。

さて、このリスト、選挙区によって違うが70から80ある。街角にリストとマニフェストが組になってずらりと張り出されていて、道行く人が足を止めて眺めている。

よく見ればビリビリに破られているものもあるが、これはいいのかね。






2011/10/23

落書き(チュニジアレポート6)

革命時には街のあちこちで政権を批判したり、人々を励ましたりするような落書きが見られたそうだが、今ではほとんどなくなってしまったとのこと。

以下に目につくところにあった落書きをいくつか。

「ベンアリババと40人の盗賊のいないチュニジアはなんて美しいんだ! 」 

 「自由は日々の実践」

「ガダフィはチュニジアの革命にとって危険だ!」

「権力を民衆に」
手前を歩いているのはマシュムームという小さな花束
(チュニジア男性の粋なアイテム)を売る少年

最後の言葉(チュニジアレポート5)

街中にあったベンアリの肖像はすっかり姿を消したが、それでもまだ残っているものはある。その一つがこれ。


w-illiː ɣalltˤuː-niː maː-zaːluː
「わたしを誤らせたヤツらはまだいるぞ」

「わたしを誤らせた」とは、ベンアリが国外逃亡する前にした演説にちなむ。つまり、自分の取り巻きがわたしを誤らせたためにこのような事態になった、というようなことを言ったのだそうだ。

投票しよう!(チュニジアレポート4)

チュニスの中心、ブルギバ通りのイブン・ハルドゥーン像の近くに、展示館のような建物があってベンアリ時代には政府がいかにチュニジアのためによいことをしているか、そういった写真が表に貼られていたのだが、今回、中をのぞいてみたら、チュニジアの芸術家によるそれぞれ投票を呼びかけるアートが展示されていた。そのうちの数点をここに紹介する。

「投票しちゃだめ! わたしがみんなのために働くよ!」とベンアリが。

「初めてだから、入れる前によく考えて」 

「こうならないよう投票して!」

選挙広報(チュニジアレポート3)

政府のほうも選挙の周知に力を入れていて、「選挙に行こう」ステッカーや選挙の手順を記した紙を配るばかりでなく、その手順をビル全面に描いて宣伝していたりしている。

ビルに描かれた選挙の手順

これは、ひとつには選挙というものを経験していない人がたくさんいることによる。また、写真を見ればわかるようにイラストが付いているが、これは高齢者には文字の読み書きできない人がいるので、そうした人にもわかるように配慮しなければならないからであろう。

さらに考えられるのは、このように政府が投票を呼びかけるということは、選挙そのものの公正性を国内外に訴えることにもつながるということだ。

長年不正な選挙を経験してきたので、国民の中にはどうせ政府のやることだから、と否定的な考えをする人もいるそうだ。

また、選挙が公正な手続きを踏み、政府がそのために努力したことを世界にアピールするのは、今後の政権が国際的にどのように扱われるかを左右しうる重要な事柄だ。

チュニジア政府がEUと国連の選挙監視団を積極的に受け入れているのもこうした背景があるに違いない。聞いた話によれば、政府は国連に4,000人の監視員を要請したが、現在2,500人しかきていないそうだ。
EUの選挙監視団のマーク

チュニジアの首相、カーイドシブシーは20日の演説で、選挙が公正なものであり、選挙によって選ばれた政権に速やかに権力を委譲することを明言している。

ビラ(チュニジアレポート2)

ベンアリ政権の崩壊した1月14日以降、チュニジアは暫定政権のもとにあって、正式な政権と憲法を確立するのが第一の課題であるのだが、そのための議会の代表を選出するのが10月23日の選挙の目的だとのこと。

もちろん、全国的な選挙で国民の関心も高い。街を歩けばいたるところで選挙の広報、候補者のビラ、キャンペーン。

わたしもあちこちでビラをもらって歩く。しかし、全部なんてとてもじゃないが集められない。なにせ、111も政党があるというからね。


ま、乱立状態というやつだが、これにさらに無所属が加わるらしい。

チュニスのメディーナの入り口、バーブルブハルで政党のビラを配っている人たち。 

 壁に貼られた政党のステッカー。アラビア文字で「民衆運動」という党名が書かれている。


選挙のキャンペーン・カー。下は共産主義政党。 

壁に貼られたステッカー。

もちろん、ベンアリ大統領の時代にはこんなことはありえなかった。いちおう野党はあったにしても。

ベンアリ時代に対抗して大統領に立候補した人の話を聞いたことがあるが、選挙活動の妨害が半端なかった。いや、そもそも当局が立候補の届けを受け取ろうともしなかった。しかも、非合法化された政党もあり、多くの活動家が投獄されたり国外に逃げていたりした。

ま、そんな時代を耐え忍んできたわけだから、大いに派手にやるべきなのは間違いない。


しかし、それにしても、みんな、ビラ、ポイ捨てしすぎじゃね!?