8月9日に在日ビルマ難民たすけあいの会員の仮放免手続きのために,品川の東京入国管理局に行った。
9時ちょっと過ぎから手続きを始め,田町に行って銀行で保証金を収めて,再び入管に戻って仮放免を待つといういつもの流れで,お昼前には出てきた。
彼は2年もの間あちこちで収容されていた人で,特にわたしが仮放免申請してからは,外に出る日を恋い焦がれるあまり,たびたびわたしに電話をかけてきて,状況を尋ねてきた。
しかし尋ねられても,わたしに言えることは何もない。せいぜい励ますぐらいだ。
彼はあるとき毎日のように電話をかけてきたことがあった。精神的に参ってしまったのだという。
わたしは心当たりがあったので,出てきたばかりの彼に聞いた。
「たくさん電話かけてきたときあったけど,あれはやっぱり,7月6日のフィリピン人の一斉強制送還と関係あるの?」
答えはその通りで,送還されたフィリピン人の中には彼の知る人も含まれていたとのことだ。これらの人々は深夜に叩き起こされて牛久に連れて行かれたのだという(わたしが彼の日本語を正しく理解していたならば)。これを目の当たりにしては,不安で堪らなくなるのも無理はない。
ビルマの難民認定申請者は自分たちにも日本政府が同じようなことをするのではないかと大いに心配しているが,わたしはビルマ難民に限ってはそれはないと考えている。それは日本が難民条約に署名しているという前提を危うくするものだからだが,そうではあっても,今回のフィリピン人の一斉強制送還が,ビルマ難民を含む多くの在日外国人に与えた心理的影響は非常に大きいのではないか思う。そして,それは決してよいことではない。
ところで,入管の中では写真撮影は禁止だ。なので,わたしは外の写真しか撮らないのだが,6階の違反審査部門の待合室の記載台の落書きだけはちょっと気になったので写してしまった(わたしは落書きの擁護者を自認している)。これも決してよいことではないが,入管の内部の様子や職員を写したものではないし,またいずれは消される(はずの)ものなので害はあるまい。