2016/02/10

BRSA活動日記(2016年1月31日 月例会議)

以下は、在日ビルマ難民たすけあいの会のHPの活動日記向けに書いたもの。

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大塚の南大塚地域文化創造館の第1会議室でBRSAの月例会議が開催されました(午後2時前に始まって5時終了)。いつもよりたくさんの会員が参加してくださいました(40人ぐらい)。筑波大学で難民について調査している大学院生の方も来てくださいました。

会議の内容は、以下の通り。

《報告》
①お正月日帰りバス旅行:100人近くの参加者。貸し切りバス2台で。静岡のスノータウン・イエティ。約225000円の黒字。
②渡邉彰悟弁護士講演会(1月10日豊島区民ホール)。参加者約50名。約20000円のマイナスだが、成果あり。
③各役員報告。

《主な議題》
①BRSAのNPO法人化について。会場の参加者の多数が賛成。タスク・フォース設置して検討。
②今後の役員体制について。NPO法人化した場合の役員体制を検討する必要。
③ビルマに関する最近の新聞記事に関して解説。
④在日ビルマ政治団体が最近次々と入管に呼び出されてインタビューを受けているとのこと。BRSAとしての対応についての質問があった。BRSAとしては今後も活動の基本方針(難民支援・民主化支援)は変わらないことを確認。
⑤渡邉彰悟弁護士講演会のビデオの上映。

《次回会議》
2月14日 17:30から南大塚地域文化創造館で。




「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(15)

それはNCAがビルマ全土の平和に結びつくどころか、部分的停戦により撤退した部隊が、交戦の続く地域やこれまで戦闘のなかった地域に集中し、軍事的攻撃が激化するのではないかという危惧である。

この恐れこそ、非ビルマ民族諸組織の主張する「全土停戦」の根拠をなすものであり、真剣な考慮に値する。というのも、1990年代半ばのカレン民族同盟とカレン民族解放軍の弱体化の原因は、1992年のカチン独立機構とビルマ政府との停戦にあるという見方も存在するからである。つまり、停戦によりビルマ軍は軍事力をカチン地域からカレン地域に回すことができたためだというのである。

そして、現在皮肉にもカレンとカチンの立場は入れ替わったわけであり、今回の停戦がカチン側を苦境に追い込むとしても「カチンはNCAに関して何も言う資格はない」と厳しいことを言う者もいる。

しかし、わたしの見るところでは、KIOとビルマ政府との停戦はKNUの弱体化のひとつの理由であったかも知れないが、それがすべてではない。国際関係の変化、カレン人内部の意見の相違などさまざまな要因が関わっていると見るべきであろう。


2016/02/09

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(14)

結局のところ、合意参加組織と不参加の組織のどちらが多数派かであるかという問題は、何を基準とするかという観点によって変わるとしか言いようがない。つまり、合意に加わった一部の組織を少数派と断ずることは必ずしもできないということだ。

そもそも平和の問題、しかも様々な民族の政治・軍事組織が関係する問題を、純粋に多数か少数かという数の観点だけで判定することはふさわしいことだろうか。そうした態度こそ、マイノリティの権利を損なうものではないだろうか。

重要なのは、単なる数の問題に還元するのではなく、個々の民族の状況を考慮に入れた実質に着目することと、この停戦合意が今後文字通りの「全土」に拡大し、永続的な平和の基盤となるだけの実質を備えているかである。

その答え自体は、この合意の成立そのものに求められよう。すなわち、そのように多くの人々が判断したから署名式典が行われたのである。この点に関しては後に触れるが、もうひとつここでとりあげるべき重大な異義について概観しておこう。



2016/02/08

店の名前

過ぎにし薔薇はただ名のみ、虚しきその名が今に残れり。
ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』


チェスタトンの『ポンド氏の逆説』ではないが、正解したのに間違っていたという話をさせていただきたい。

昨年のことだが、在日ビルマ難民たすけあいの会(BRSA)の忘年会を12月20日にすることになった。

その会場となる居酒屋はビルマ人役員が高田馬場で見つけてくれたという。

どこかと尋ねたら、店の名前はわからないと答える。何度聞いても教えてくれない。店の名称というのはけっこう難しいのでしょうがない。ビルマの人の中には、とにかくどこにあるかわかればこと足りるので、自分が働いている店の名前も言えないことすらある。

別にそれでもかまわない。だが、わたしは店を他の日本人会員に伝えなければならないので困った。

役員が言うにはその店には次のような特徴があるという。

①魚がメイン。
②安い。
③沖縄の店だ。

これだけで店の名前が当てられる人はいるだろうか。ビルマ人との付き合いが長く、高田馬場もそれなりに知っているわたしは、この学生街の数ある居酒屋の中から見事に当ててみせた。

ヒント:ビルマの人にとってチェーン店のほうが入りやすい、というのが分かるとぐっと範囲が狭まるだろう。

さらにもうひとつヒントを出そう。いくら外国人でも日本暮らしが長ければ仮名ぐらいは読める。つまり店名はおそらく漢字だけからなるのだ。

賢明なる読者諸君はもうおわかりだろうか(BRSA会長からの挑戦状だ)。

答えは、










最近やたらとよく見かける磯丸水産だ。

磯丸水産の店の外装を特徴づける青が沖縄を連想させるに違いないという推理と、高田馬場で磯丸水産の前を通り過ぎたことがあるという記憶がわたしを正答に辿り着かせたのだ。

だが、にもかかわらずわたしは間違った。

なぜか。

BRSAのメンバーたちが連れて行ってくれたのはわたしが通りかかったことのないほうの磯丸水産……つまり高田馬場には2店舗あったのである。

過ぎにし店はただ名のみ……

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(13)

ところで多数派少数派の問題でもう一つ考慮すべき点がある。今回の合意では、シャン民族を代表する2つの政治組織のうち1つ、アラカン民族を代表する3つの政治組織のうち1つしか参加していない。それゆえ、これを持って、NCAが少数の組織によるものだと判定することも可能である。

しかし、これには2つの点から異論を提出することができる。

1つはすでに述べたように、合意に参加したシャン州復興評議会(RCSS)とそうでないシャン州進歩党(SSPP)のどちらが、あるいは合意に参加したアラカン解放党(ALP)とそうでない残りの2つ、アラカン民族評議会(ANC)とアラカン軍(AA)のどちらが「多数」なのかを決めるのは簡単ではないというものである。

もう1つはより根本的な反論だ。それはある民族にそれを代表とする複数の政治組織がある場合、この政治組織間に協力関係を生み出したり、あるいはその内のいずれかに正当性を与えたりするのは、他の民族やビルマ政府の役割ではなく、その民族自身がすべきことだという考えである。つまり、この問題は、個々の民族のレベルで解決すべき部分も大きく、必ずしもNCAそのものの評価に関わるものではないのである。

もっとも、この点に関しては、かつては敵同士でもあったカレン民族同盟と民主カレン寛容軍がともに合意に参加した経緯なども含めてより詳細に検討する必要があろう。

2016/02/06

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(12)

人口についても同様にビルマ民族全体を含めれば、停戦合意の恩恵を受ける人々の数は、合意に加わっていない人々の数よりもずっと多いということになろう。もっとも、非ビルマ民族内に限った場合、多数派がどちらかは容易には決しがたい。

さて、これまでNCCT内の組織、民族、州、地域、人口を基準に比較をしてきたが、さらに軍事力の点からも比較することができる。とはいえ、わたしはこの点に関しては十分な情報はない。カチン人に言わせれば、今回の合意に参加した軍事組織は戦力的には少数勢力だという。確かにわたしが実際に見た経験からすると、カチン軍(KIA)は軍備の点では少なくともカレン軍よりも勝っているように見受けられたが、全体としてどうなのかは不明である。

しかし、たとえそうであっても、ビルマ政府ともっとも最初に戦火を交え、さらにカチン人とは違ってこれまで一度も停戦合意を行ったことのないカレン民族が、しかもその主力となるKNUとDKBAがともに合意に加わったことの意義は大きい。軍事的にはもしかしたらカチンよりも劣るかもしれないが、歴史的意義、あるいは影響力の強さという観点から見るならば、その不足を補って余りあるといえるだろう。

2016/02/05

「我らが勝利の日:チン民族と全土停戦合意(NCA)」(11)

ここで民族の数という観点からNCA署名団体を捉えてみると、ビルマの7大民族(カレン、カチン、シャン、アラカン、モン、チン、ビルマ)のうち、ビルマを除けば4つの民族が参加している。

次に民族州ではどうかというと、ビルマにはカチン州、カヤー州、カレン州、シャン州、チン州、モン州、アラカン州の7つの民族州があるが、このうち合意と全く無関係なのは、カチン州、カヤー州、モン州の3つである。

では、停戦合意が及ぶ地域の広さはどうだろうか。これは停戦が達成されていない地域のほうが領域的には小さいと考えることができる。合意とは関わりのないカチン州、カヤー州、モン州に合意に達していない政治軍事組織が存在するシャン州・アラカン州のある部分(それは不明だが)を加えても、ビルマの残りの地域のほうが広いからである。すなわち、わたしはヤンゴンやネーピードー、マンダレーなどのビルマ民族中心の地域(地方域)も含めて考えているわけだが、ただしこれには異論もあろう。というのも、全土和平が達成されていない状況でこれらの地域が平和であると言い切ることは少々難しいだろうから。

しかし、それでも民族州以外で非ビルマ民族が住む地域、特にカレン民族の多く住むエーヤーワディ地方やチン民族の多く住むザガイン地方にもこの合意の影響が及んでいることは間違いない。