2011/04/23

フライ人(写真編)

玄関前

行列


入管の周囲

品川駅で入管行きのバスに並ぶ人たち

入管の周囲


入管前の道路の向こう側にできた行列

2011/04/22

フライ人(4)

6階はいつもの静けさ。下の騒ぎなんか嘘のよう。高天原というわけだ。目指すは「違反審査部門仮放免」の部屋、だが、ドアのガラス越しに見ると、暗い。節電だ。しかも、ドアには「行政相談申請受理は終了しました」というボードがかけてある。

さては気を抜いてやがるな。こんなに早く来る人間がいようとは夢にも思わなかったってか? 「さあ、朝だ! 朝だ! ぼやぼやするな! 身元保証人のおでま しだ!」とばかりに勢いよドアを開けるわたし。だが、薄暗がりの中佇んでいた職員に「9時からですよ!」と追い払われる。それで部屋の外で15分ばかり待 ちました。 玄関先であんなに必死になっていた自分はいったい何だったのかと自問自答していたので、あっという間だ。

9時に再び入室。顔なじみの職員の対応もいつもより親しげだ。「お待たせしました!」とにこやかに。わたしも「いや、下は大変ですね!」だなんてい つもはしない無駄口叩き。地震みたいな災難のあとでは誰だって懐かしい友人に見える。まったく和気あいあいとして「お互い様ですよ!」ってねぎらい合っ て。地上の「フライ人」たちの騒ぎから遠く離れて、ひそかな優越感を共有しながら。

さて、仮放免手続きそのものは、通常通りの運び。4階の会計に行って、それから田町の銀行で保証金を振り込み、再び入管に戻る(入管行きのバスにもとんでもない行列、仕方なく歩いた)。

入管のエレベーターに乗り合わせた職員たちの話を耳に挟んだところでは、15日は4800人の外国人が再入国許可に並んだとのことだ。おそらく16日はそれ 以上に違いない。そのうちの一人は5センチ以上ある紙の束を持っていて、それには「申請受理票」と書かれていた。もちろん、再入国許可申請のヤツ! 彼ら が2階でエレベーターを降りるとき、ひとりの女性職員が「さあ行くぞ!」と気合いを入れていたが、それほど混雑していなかったので「あれ、そうでもない か」と呟いていた。

実際、少なくともこの日は入管の職員たちは実にうまく申請者の大群を整理・誘導していたと思う。ま、並んでた人に言わせれば違うかもしれないが。

わたしがすべての手続きを終えて入管を後にしたのは10時半過ぎ。そのときには、入管前の道路を越えたところに列のシッポが作られてた。並ぶのに横断歩道 を渡らなくてはならないというわけだ。ひょっとしたら列の最後尾はもう上海あたりにあるんじゃあ、と思いながらバスに乗りました。(おしまい)

フライ人(3)

それにしても並ぶのも大変だ。幼児連れもいれば、妊婦もいる。喉も渇けば、オシッコもしたくなる。トイレを使わしてくれ、中のコンビニで買い物させてくれ、印紙を買わせてくれ、という連中がたびたび玄関前にやってきて追い払われていた。

入管の脇にあるコンビニに行けば、食べ物はほとんど売り切れだ。トイレも使用禁止と張り紙がしてある。これじゃみんなの膀胱が爆発しちゃう。

警備員に文句を付ける人や、なんだかわからないがカンカンに怒っている人もいたが、それでもたいていの人は静かに並んでいた。ただし、玄関周辺はゴミだらけ吸い殻だらけだ。

さ あ、8時半だ。入管の職員が玄関の自動ドアを開き、ビザ申請の列の先っちょを少し進ませる。「開いたらゆっくり入ってください! ゆっくり! ゆっく り!」 この列は2階行きのエスカレーターに接続される列だ。わたしは玄関前の職員に大声で言う。「仮放免の手続きで6階に行くんです! 列には並ばなく ていいっていわれました!」 相手が返事をする前に、わたしはパイロンで作られた柵を擦り抜けて、列の先頭に躍り出る。

「6階です! 6階です!」 そればっかだ。だが、他の人々ともども入管の職員にしばし押し止められる。そして職員の「はい! 進んで!」の声とともに、わたしはエレベーターにまっしぐら。

フライ人(2)

警備員も整列に大わらわだ。入管の職員もだんだん外に出てきて、即席の案内板をもって整列させている。

列には 2つあって、 玄関に近いほうがビザ申請者の列、そしてその外側が再入国許可申請者の列。わたしは仮放免手続きだから、どちらにも該当しない。そこで、玄関前に並べられ たパイロンの脇に立っていると、警備員のおじさんが、ビザ申請者の列に並べ、という。違うといっても承知しない。

そ れで入管の職員に尋ねようとしたのだが、これがまた大変だ。みんなそれぞれ気がかりがあって、質問攻めにしてる。しかも、その職員、やけに丁寧な人で入管 の外のコンビニの場所まで教えている。じりじりしながら隙を突いて尋ねると、「並ぶ必要なし」との答え。さあどうだ、とばかりに玄関前に戻ると、警備員が また追い払おうとする。

いやもう梃子でも動かんぞ、とわたしが拒むと、「どうぞご勝手に、でもどうなったって知りま せんぞ」とばかりに去っていった。ま、警備員としてはただただ並ばせるのが職務、それぞれが入管内部でどんな事情があるかなんて知ったこっちゃないわけ で、ここは入管職員の言うことを信じて玄関前で待ち続けたほうがよいと判断(そしてそれが正解)。

フライ人(1)

フライ人(flyjin)とは、震災後、在日外国人の間で流通している言葉で、日本から飛ぶように逃げてしまった外国人を揶揄して指す。「外人(gaijin)」からの造語だ。

東京から逃げ出す日本人もいることを考えれば、不当な揶揄ともいえるが、それはさておくとしても、震災の翌週、3月16日水曜日に入管に仮放免手続きのために行ったとき、見ましたよ、すごい騒ぎを。

その日は計画停電やらなんやらで電車が止まると困るので、できるだけ早く行って、手続きを済ましちまおうってことで、6時半には家を出た。仮放免手続きは普通午後1時から始まるのだが、入管の人が前日に電話でいうには、交通のこともあるので午前からでも大丈夫だと。にしても、張り切りすぎた。早く着いちゃった。午前8時前だ。だが、もうそのときにはできてた、すごい列が、日本から逃げだそうっていう「フライ人」たちの行列が。

品川駅から入管まではバスが短い間隔で運行しているのだが、そのバスが着くたびに、外国人がどっと降りる。まるで寄せ来る波のよう。しまいには列は入管の周囲を取り巻いて、折れ曲がり、

八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を

てな塩梅。

いけないボランティア

聞いた話によると、難民認定申請中のビルマの人が入国管理局にこんなことを言われたとのこと。

「あなた、被災地に行って被災者のボランティアをしないの?」

入管の人が本気で言ったのか、冗談で言ったのか、あるいは、何かの言葉の面で誤解があるのか、そのあたりはわからない。だが、なんにせよ、このせいで、少なくとも一部の難民認定申請者が考えはじめちゃった。「被災地のボランティアに行かなければビザが貰えない」、いやもっと踏み込んで「被災地のボランティアに行けばビザが貰える!」と。

「不純な動機」というやつ。

しかし、本当に入管が真面目にそんなことを言ったのだとしたら、これこそ「余計なお世話」というやつだ。

【追記】

その後の情報では、入管がこのように言ったのは、難民認定申請者ではなく、すでに在留を許可されている人にだったとのこと。それが、難民認定申請者の間で誤って広がったということらしい。(4月25日)

2011/04/21

リリー・アレン

軍事政権による報道統制下にあるビルマでは、国外のメディアが唯一の正確な情報源となることが多い。インターネットを含めたそうした情報源のうち、古くからあるのがBBC(英国放送協会)のビルマ語放送で、これをこっそり聞くのを日課にしている人もいるという。

そんなわけで、わたしはビックリしてしまった。このBBCが日本の被災者向けに放送を行うと聞いて。原発事故の不手際に業を煮やしたイギリス政府が日本政府をついにビルマ政府並みに扱うようになったのかと思ったのだ。

もちろん、それはバカバカしすぎる勘違いで、要はBBCが励ましのラジオ番組をするということらしい。