ビルマ人の名前には姓がなく、原則的にはアウンサンスーチーならそのすべてが名だ。
いっぽう、ビルマ語には冠称というものがある。これは人名の前についてその人が1)男性であるか女性であるか、2)年の頃はいかほどかを示すものだ。具体的にはおおよそ次のようになるようだ。
〈男性〉
ウー 年上
コー 同年代もしくは少し年上
マウン 年下
〈女性〉
ドー 年上
マ それ以外
例えばアウンサンスーチーさんの場合は、年齢的にいっても地位からいってもドーにふさわしく、ドー・アウンサンスーチーとかドー・スーとかいわれているのをよく耳にする。
ある部分では日本語の「さん」「さま」に対応するものと見ていいが、それでも違いはある。
例えば、自分で名乗る時にもこの冠称を自分でつける場合がある。たとえば「わたしはウー・ティンウーです」というような場合がそれで、これを日本語の「さん」にそのまま置き換えてはおかしい。
ビルマの人が電話をかけてきて時々「わたしはティンウーさんです」と、自分にさん付けするのをいつも変だなと思っていたが、もしかしたらこの冠称の用法と関係があるのかもしれない。
それはさておき、もうひとつの違いは、登録証、パスポートなどにもこの冠称がそのままついている場合もあることだ。つまり、名前の一部として登録されてしまっているのである。そうなるとこの冠称を名前の一部として扱わなくてはならなくなる。
非中黒法、つまり名前の構成要素を中黒で区切らない表記法の利点は、このように冠称と人名を併記しなければならない場合に、冠称と名前を中黒によってはっきりと区別することができることにある。
つまり非中黒法のドー・アウンサンスーチーのほうが、中黒法のドー・アウン・サン・スー・チーよりも、名前と冠称の区別がしやすいという点で優れている。
もちろん、名前と冠称の区別ならば、別の区切り記号を導入すれば、中黒法でも可能である。例えば、ドー=アウン・サン・スー・チーというのがそれで、冠称と名前との区切りの印として=を導入したわけである。
これでも悪くはないのだが、=という記号を別に導入するのは、表記法を複雑にするわけで、できたら中黒ひとつ、しかもできるだけ少なくしたいものだ。
さて、これまではもっぱらビルマ人の人名ばかり扱ってきたが、もちろんのことビルマに住んでいるのはビルマ人ばかりではない。カチン人、チン人、カレン人などさまざまな民族が暮らしている。そこで次回はこれらの非ビルマ民族の名前の表記をも考慮に入れて、中黒法か非中黒法のどちらがよいかを論じてみよう。
2009/03/06
2009/03/04
アウンサンスーチーかアウン・サン・スー・チーか(1)
ビルマ人の名前の表記でしばしば問題になるのは、「アウンサンスーチー」か「アウン・サン・スー・チー」のどちらか、つまり、名前の区切りごとに中黒(・)を入れるべきかどうかということだ。
きちんと調べたわけではないが、ビルマ問題の専門家が書いたものでは中黒を入れないものが多く、新聞などではいちいち区切っているものが多い。
どちらでもいいと言えばいいことなのだが、その双方に一長一短のあることを記す。
中黒を入れる表記法の長所は、その名前がどのような要素からなり、またどこで切れるかが分かることだ。
例えば次のような名前の場合、ビルマの名前についてある程度の知識がなければどこで区切るかは普通は分からない。
キンマウントゥン
これはローマ字つづりKhin Maung Tunを見れば分かるように、「キンマ・ウン・トゥン」でも「キン・マウントゥン」でもなく「キン・マウン・トゥン」と区切るのが正しい。
中黒を入れる表記法は、このようにビルマ語の知識がない人に名前の区切りを示す意味で有効であるが、この名前の区切りの知識が、そうした人にとってどの程度役に立つのかを考えると、たいして役に立たないような気がする。ただし、声に出して読む場合は、どこで区切りがあるかの情報は重要であることは確かだ。
さて、それではこの中黒法の短所はどうかというと、まず第一に煩雑だと言うことである。第2に、ビルマ人の名前を書くさいに、書き手はあらかじめその人名の語の区切りというやや高度な情報を知っていなくてはならず、その情報は常に誰でも把握可能ではないことが挙げられる。
つまり、ビルマ文字が読めるか、その名前のローマ字表記資料が手元にあるか、それとも名前を聞いただけで、区切りが分かるだけのビルマ語知識を持っているかでなくてはならず、これはいつでも誰でもできるといった条件ではないのである。
そこで、次回は中黒を用いない名前表記の方法、いわば非中黒法の長所短所を記すことにする。
きちんと調べたわけではないが、ビルマ問題の専門家が書いたものでは中黒を入れないものが多く、新聞などではいちいち区切っているものが多い。
どちらでもいいと言えばいいことなのだが、その双方に一長一短のあることを記す。
中黒を入れる表記法の長所は、その名前がどのような要素からなり、またどこで切れるかが分かることだ。
例えば次のような名前の場合、ビルマの名前についてある程度の知識がなければどこで区切るかは普通は分からない。
キンマウントゥン
これはローマ字つづりKhin Maung Tunを見れば分かるように、「キンマ・ウン・トゥン」でも「キン・マウントゥン」でもなく「キン・マウン・トゥン」と区切るのが正しい。
中黒を入れる表記法は、このようにビルマ語の知識がない人に名前の区切りを示す意味で有効であるが、この名前の区切りの知識が、そうした人にとってどの程度役に立つのかを考えると、たいして役に立たないような気がする。ただし、声に出して読む場合は、どこで区切りがあるかの情報は重要であることは確かだ。
さて、それではこの中黒法の短所はどうかというと、まず第一に煩雑だと言うことである。第2に、ビルマ人の名前を書くさいに、書き手はあらかじめその人名の語の区切りというやや高度な情報を知っていなくてはならず、その情報は常に誰でも把握可能ではないことが挙げられる。
つまり、ビルマ文字が読めるか、その名前のローマ字表記資料が手元にあるか、それとも名前を聞いただけで、区切りが分かるだけのビルマ語知識を持っているかでなくてはならず、これはいつでも誰でもできるといった条件ではないのである。
そこで、次回は中黒を用いない名前表記の方法、いわば非中黒法の長所短所を記すことにする。
2009/02/27
ビルマとは違う
あるカチン人が難民と認められず、その場で入管に収容された。
折も折、息子に会おうと来日していた老母、収容の報を聞くや否や、周囲の者を急かして曰く、「さあ、ありったけのお金をかき集めて!」
こういう時は当局に賄賂を贈るのが一番。政府による迫害に長年さらされてきた人々の「知恵」である。
別の同様な話。
やはり日本滞在中に息子が入管に収容された老母、「釈放されるよう祈りましょう」という牧師に反論して、「祈りよりもお金」と。
折も折、息子に会おうと来日していた老母、収容の報を聞くや否や、周囲の者を急かして曰く、「さあ、ありったけのお金をかき集めて!」
こういう時は当局に賄賂を贈るのが一番。政府による迫害に長年さらされてきた人々の「知恵」である。
別の同様な話。
やはり日本滞在中に息子が入管に収容された老母、「釈放されるよう祈りましょう」という牧師に反論して、「祈りよりもお金」と。
2009/02/25
2009年2月20日UNA声明
2009年2月20日 ビルマ国内で活動する12の非ビルマ民族政党の連合であり、1990年の総選挙において67の議席を獲得した少数民族統一同盟(統一民族同盟、少数民族連合とも)United Nationalities Alliance (UNA) が声明を発表した。
軍事政権が行おうとしている2010年の選挙を巡って、これに参加すべきかどうか、これまで非ビルマ民族政治組織の間で議論がなされてきた。基本的には参加するべきではないという立場が主流だが、なかにはこれを国を変える好機とみなし積極的に参加すべきだと考える人もいる。
また、選挙そのものには反対であるにしても、選挙に参加しなかったがため、その後の政治の流れにおいて影響力を失うのではないかと危惧する人々もいる。
今回のUNA声明は選挙への参加をはっきりと拒絶するものだが、国内の政治組織によるものだけに、影響も大きいのではないかと思う。
その日本語要約と英文(原文)は次のとおり。
(1) 軍事政権、国民民主連盟(NLD)、非ビルマ民族の代表とによる三者協議こそが、ビルマの問題を解決する唯一の手段である。
(2) しかしながら、軍事政権はこの要求を無視し、2008年の国民投票によりまやかしの憲法を採択し、さらに2010年にはやはりまやかしの選挙を行おうとしている。
(3) 2008年憲法は軍に国家のあらゆる分野において最高権力を付与するものである。国民の基本的人権、非ビルマ民族の権利が保障されておらず、ビルマをさらなる混乱に突き落とすであろう。
(4) ゆえにUNAは、政治囚の釈放、憲法の見直し、三者協議の実施を求めているNLDを支持する。
(5) 軍事政権が民主化と国民和解のプロセスに本気で取り組まないかぎり、UNAは2010年の選挙に参加せず、またこの選挙を合法的なものとの認めない。
(6) さらにUNAは、軍事政権によるこの選挙を支援しないよう国連と国際社会に対して要請する。三者協議が実現するよう、国連安保理と国際社会が軍事政権に実効力のある圧力を加えなくてはならない。
We, United Nationalities Alliance (UNA), a coalition of 12 ethnic political parties in Burma which contested and won (67) seats altogether in the 1990 general elections, today announce our position on national reconciliation and democratization in our country. We also make suggestions to the United Nations and the international community as follows.
(1) We strongly believe that the current political, social and economic crises in Burma can only be solved through a meaningful and time-bound dialogue between the ruling military regime, known as State Peace and Development Council (SPDC), the National League for Democracy (NLD) party led by Daw Aung San Suu Kyi, and the representatives of ethnic nationalities. With this belief, we have consistently asked the SPDC to engage in a dialogue immediately and start an all-parties inclusive process of national reconciliation and democratization for the sake of country and the people of Burma, who deserve to live in peace and prosperity.
(2) However, the SPDC still ignores our requests, and instead has embarked on its own path of consolidating its powers and building a permanent dictatorship in Burma with a sham constitution, forcibly and illegally adopted in 2008, and a sham election, claimed to be held in 2010.
(3) The 2008 Constitution was written by a group of the regime's handpicked delegates through the on-off national convention process, which lasted over 13 years. It is designed to place supreme power in the hands of the military Commander-in-Chief. In addition to reserving 25% of seats in the Parliaments at every administrative level for military personnel, executive, judiciary and legislative powers are also vested in the military. The Constitution denies the fundamental rights of the people and makes ethnic nationalities to be the subordinates of the Burman majority. This Constitution, if it comes alive through the 2010 election, could not produce any positive outcome, but it would push our country towards total chaos.
(4) Therefore, we support the demands made by the National League for Democracy party, calling for the SPDC to release all political prisoners, to review and revise the Constitution and to engage in a meaningful and time-bound dialogue with election winning parties and ethnic representatives, without further delay.
(5) We also reaffirm our position that until and unless the military regime shows its sincere will to make positive changes and start an all-parties inclusive process of democratization and national reconciliation, we will not participate in the 2010 election and we will not recognize that election as legitimate.
(6) We also urge the United Nations and the international community to refrain from supporting the regime's unilateral roadmap and planned election. The United Nations Security Council and the international community should apply effective pressure on the regime to abandon its plan to create a permanent military dictatorship in Burma, and to instead engage in a meaningful and time-bound dialogue with the National League for Democracy party, and ethnic representatives, to find a negotiated political settlement to build a democratic, prosperous, and better Burma.
United Nationalities Alliance (UNA)
Contact Persons;
(1) Pu Chin Sian Thang
Member of Presidium, Spokesman
No.34, First Floor, 52nd Street
Botataung Township, Rangoon
Ph: 397389
(2) Nai Ngwe Thein
Member of Secretariat, Spokesman
Room No.27, Building No.221
Yankin Township, Rangoon
Ph: 555180 (Ext: 280)
軍事政権が行おうとしている2010年の選挙を巡って、これに参加すべきかどうか、これまで非ビルマ民族政治組織の間で議論がなされてきた。基本的には参加するべきではないという立場が主流だが、なかにはこれを国を変える好機とみなし積極的に参加すべきだと考える人もいる。
また、選挙そのものには反対であるにしても、選挙に参加しなかったがため、その後の政治の流れにおいて影響力を失うのではないかと危惧する人々もいる。
今回のUNA声明は選挙への参加をはっきりと拒絶するものだが、国内の政治組織によるものだけに、影響も大きいのではないかと思う。
その日本語要約と英文(原文)は次のとおり。
少数民族統一同盟(UNA)
ビルマ、ラングーン
2009年2月20日
軍事政権による2010年選挙を拒否し、
国民和解とビルマ(ミャンマー)民主化を求める
特別声明
ビルマ、ラングーン
2009年2月20日
軍事政権による2010年選挙を拒否し、
国民和解とビルマ(ミャンマー)民主化を求める
特別声明
(1) 軍事政権、国民民主連盟(NLD)、非ビルマ民族の代表とによる三者協議こそが、ビルマの問題を解決する唯一の手段である。
(2) しかしながら、軍事政権はこの要求を無視し、2008年の国民投票によりまやかしの憲法を採択し、さらに2010年にはやはりまやかしの選挙を行おうとしている。
(3) 2008年憲法は軍に国家のあらゆる分野において最高権力を付与するものである。国民の基本的人権、非ビルマ民族の権利が保障されておらず、ビルマをさらなる混乱に突き落とすであろう。
(4) ゆえにUNAは、政治囚の釈放、憲法の見直し、三者協議の実施を求めているNLDを支持する。
(5) 軍事政権が民主化と国民和解のプロセスに本気で取り組まないかぎり、UNAは2010年の選挙に参加せず、またこの選挙を合法的なものとの認めない。
(6) さらにUNAは、軍事政権によるこの選挙を支援しないよう国連と国際社会に対して要請する。三者協議が実現するよう、国連安保理と国際社会が軍事政権に実効力のある圧力を加えなくてはならない。
United Nationalities Alliance (UNA)
Rangoon, Burma (Myanmar)
Date: 20 February 2009
Special Announcement on
National Reconciliation and Democratization in Burma/Myanmar,
Rejecting the Regime's 2010 Election
Rangoon, Burma (Myanmar)
Date: 20 February 2009
Special Announcement on
National Reconciliation and Democratization in Burma/Myanmar,
Rejecting the Regime's 2010 Election
We, United Nationalities Alliance (UNA), a coalition of 12 ethnic political parties in Burma which contested and won (67) seats altogether in the 1990 general elections, today announce our position on national reconciliation and democratization in our country. We also make suggestions to the United Nations and the international community as follows.
(1) We strongly believe that the current political, social and economic crises in Burma can only be solved through a meaningful and time-bound dialogue between the ruling military regime, known as State Peace and Development Council (SPDC), the National League for Democracy (NLD) party led by Daw Aung San Suu Kyi, and the representatives of ethnic nationalities. With this belief, we have consistently asked the SPDC to engage in a dialogue immediately and start an all-parties inclusive process of national reconciliation and democratization for the sake of country and the people of Burma, who deserve to live in peace and prosperity.
(2) However, the SPDC still ignores our requests, and instead has embarked on its own path of consolidating its powers and building a permanent dictatorship in Burma with a sham constitution, forcibly and illegally adopted in 2008, and a sham election, claimed to be held in 2010.
(3) The 2008 Constitution was written by a group of the regime's handpicked delegates through the on-off national convention process, which lasted over 13 years. It is designed to place supreme power in the hands of the military Commander-in-Chief. In addition to reserving 25% of seats in the Parliaments at every administrative level for military personnel, executive, judiciary and legislative powers are also vested in the military. The Constitution denies the fundamental rights of the people and makes ethnic nationalities to be the subordinates of the Burman majority. This Constitution, if it comes alive through the 2010 election, could not produce any positive outcome, but it would push our country towards total chaos.
(4) Therefore, we support the demands made by the National League for Democracy party, calling for the SPDC to release all political prisoners, to review and revise the Constitution and to engage in a meaningful and time-bound dialogue with election winning parties and ethnic representatives, without further delay.
(5) We also reaffirm our position that until and unless the military regime shows its sincere will to make positive changes and start an all-parties inclusive process of democratization and national reconciliation, we will not participate in the 2010 election and we will not recognize that election as legitimate.
(6) We also urge the United Nations and the international community to refrain from supporting the regime's unilateral roadmap and planned election. The United Nations Security Council and the international community should apply effective pressure on the regime to abandon its plan to create a permanent military dictatorship in Burma, and to instead engage in a meaningful and time-bound dialogue with the National League for Democracy party, and ethnic representatives, to find a negotiated political settlement to build a democratic, prosperous, and better Burma.
United Nationalities Alliance (UNA)
Contact Persons;
(1) Pu Chin Sian Thang
Member of Presidium, Spokesman
No.34, First Floor, 52nd Street
Botataung Township, Rangoon
Ph: 397389
(2) Nai Ngwe Thein
Member of Secretariat, Spokesman
Room No.27, Building No.221
Yankin Township, Rangoon
Ph: 555180 (Ext: 280)
2009/02/23
第61回チン民族記念日(おまけ)
ビルマ関係の催し物だとたいてい何かの食べ物が主催者側から振る舞われるのが普通だ。
今回のチン民族記念日もそうで、なかなか経験することのできないチンの料理を食べることができた。

チン人の主に食べる穀物は、粟とトウモロコシ。以前のチン民族記念日では粟の料理が出てきたが、今回はトウモロコシだ。
このトウモロコシは、日本での食べ方とは異なり、トウモロコシの粒を乾燥させ、杵で叩いて皮を取ったもの、つまり脱穀したものを、煮て食べる。
今回はこの粒と豆と鶏肉を煮込みであったが、チンの村では鶏肉よりも牛のモツを使うほうが好まれるのだという。お祝い事があると大鍋で作って、みんなで分け合うのだそうだ。もちろん、肉も何も入っていない場合もある。
別の人がいうにはこの料理は、普通の日のお昼に食べるものでもあるそうだが、おそらくそういった場合は、肉などは入っていないのかもしれない。
料理そのものの味はあっさりしている。やや物足りなく感じられるというのならば、小皿に盛られたトマトや唐辛子から作られた激辛の付け合わせを混ぜるとよろしい。これは隣接するインドの食文化の影響だとのこと。
今回のチン民族記念日もそうで、なかなか経験することのできないチンの料理を食べることができた。

チン人の主に食べる穀物は、粟とトウモロコシ。以前のチン民族記念日では粟の料理が出てきたが、今回はトウモロコシだ。
このトウモロコシは、日本での食べ方とは異なり、トウモロコシの粒を乾燥させ、杵で叩いて皮を取ったもの、つまり脱穀したものを、煮て食べる。
今回はこの粒と豆と鶏肉を煮込みであったが、チンの村では鶏肉よりも牛のモツを使うほうが好まれるのだという。お祝い事があると大鍋で作って、みんなで分け合うのだそうだ。もちろん、肉も何も入っていない場合もある。
別の人がいうにはこの料理は、普通の日のお昼に食べるものでもあるそうだが、おそらくそういった場合は、肉などは入っていないのかもしれない。
料理そのものの味はあっさりしている。やや物足りなく感じられるというのならば、小皿に盛られたトマトや唐辛子から作られた激辛の付け合わせを混ぜるとよろしい。これは隣接するインドの食文化の影響だとのこと。
2009/02/20
第61回チン民族記念日(3/3)
チン民族式典の第1部のプログラムのうち、もうひとつ取り上げるべきものがあるとすれば、それは第1回「チンランドとチン民族の友賞」の授与式である。
これは在日チン民族のために大きな貢献をした日本人に贈られる賞で、今年から始まったものだ。
受賞者には、記念品(ボールペン)と以下のように書かれた賞状が手渡された。
この賞状は、祝典の前日急に頼まれてぼくが作ったものだ。もちろん、内容は会長のタン・ナンリヤンタンさんの意をくんでいる。
ちなみに今年の受賞者は、今回の祝典で通訳を務めてくださった田辺寿夫さんとぼく。賞自体もさることながら、田辺さんと一緒に並ぶこともまた非常に光栄なことだ。
祝典の第2部は、歌と踊りがメイン。
チン民族といっても、その中にはいくつもの民族が含まれている。言語系統は同じであるにしても、互いに意思の疎通ができないほど、言語が隔たっている場合もある。
今回の祝典では、ティディム、ハカー、ミゾ、ゾミのおのおのの言語による歌と踊りが披露され、チン人の多様性をも楽しむことができた。
さらに現代のチンの若者の姿も見ることができた。CNC-Japanの若い女性5名によるファッション・ショーはなかなかの見物だったが、彼女たちが身につけていたのは、チンの各民族衣装のモチーフを現代風にアレンジしたものだ。これを製作したのもやはり若いチンの女性デザイナーである。
これは在日チン民族のために大きな貢献をした日本人に贈られる賞で、今年から始まったものだ。
受賞者には、記念品(ボールペン)と以下のように書かれた賞状が手渡された。
第1回
チンランドとチン民族の友賞
チンランドとチン民族の友賞
あなたは私たちチン民族の希望と困難を深く理解し、
たぐいまれな熱意によって私たちの日本での活動と
暮らしを支えてくださいました。よって在日チン民族協
会は、チン民族にとってかけがえのない永遠の友人で
あるあなたに敬意を表し、ここに記念品とともに「第1
回チンランドとチン民族の友賞」を授与いたします。
たぐいまれな熱意によって私たちの日本での活動と
暮らしを支えてくださいました。よって在日チン民族協
会は、チン民族にとってかけがえのない永遠の友人で
あるあなたに敬意を表し、ここに記念品とともに「第1
回チンランドとチン民族の友賞」を授与いたします。
2009年2月15日
在日チン民族協会(CNC-Japan)
会長 タン・ナンリヤンタン
在日チン民族協会(CNC-Japan)
会長 タン・ナンリヤンタン
この賞状は、祝典の前日急に頼まれてぼくが作ったものだ。もちろん、内容は会長のタン・ナンリヤンタンさんの意をくんでいる。
ちなみに今年の受賞者は、今回の祝典で通訳を務めてくださった田辺寿夫さんとぼく。賞自体もさることながら、田辺さんと一緒に並ぶこともまた非常に光栄なことだ。
祝典の第2部は、歌と踊りがメイン。
チン民族といっても、その中にはいくつもの民族が含まれている。言語系統は同じであるにしても、互いに意思の疎通ができないほど、言語が隔たっている場合もある。
今回の祝典では、ティディム、ハカー、ミゾ、ゾミのおのおのの言語による歌と踊りが披露され、チン人の多様性をも楽しむことができた。
さらに現代のチンの若者の姿も見ることができた。CNC-Japanの若い女性5名によるファッション・ショーはなかなかの見物だったが、彼女たちが身につけていたのは、チンの各民族衣装のモチーフを現代風にアレンジしたものだ。これを製作したのもやはり若いチンの女性デザイナーである。
2009/02/18
第61回チン民族記念日(2/3)
今回は第61回チン民族記念日祝典第1部で行われた在日チン民族協会(CNC-Japan)会長タン・ナンリヤンタンさんのスピーチとCNC-Japanの声明を要約する。
まずは、会長のスピーチから。
「チン民族記念日とは、チン民族が自分たちの望む政治体制についてはっきりと意見表明し、自ら決定した日を記念する日だ。つまり1948年2月20日、チン民族はそれまでの伝統的な封建的支配体制を自ら捨て去ったのである。
この決定にはピンロン協定にも関係しているから、チン民族にとってだけでなくビルマ現代史、ビルマ独立史、ビルマの民主主義の歴史にとっても大事な日だ。
チン民族はもともと自分たちだけの独立ではなく、連邦制を支持していた。ピンロン協定の1年前の1946年3月に、チン人はビルマ人政治家と話し合い、チン・ビルマ友好条約を結んでいる。
それゆえ、チン民族記念日が記念するチン民族の自己決定とは、非封建的な政治体制を求めたこと、そして、ビルマ連邦のひとつとしてチンランドに暮らすことの二つであり、こうした意志がビルマ独立以前から存在したことを再認識するのがこの記念日の意義なのである。」
次に、この記念日にあわせて発表されたCNC-Japan声明の要約。
「CNC-Japanは次の7点の宣言を行う。
1) チン民族はビルマ連邦内において自己決定権を有し、また他の民族と同等の権利を有する。
2) 異国で働いていたり、難民として暮らすチン民族もまた、チンランドに暮らす権利を有する。
3) ピンロン協定の精神の実現を求める。
4) 反軍事政権の立場を取り、民主化を求める。
5) 軍事政権、国民民主連盟、少数民族指導者の3者協議の早期実現を求める。
6) 政治囚の即時釈放を求める。
7) 2008年憲法を承認せず、2010年の選挙の実施により連邦制が崩壊するおそれがあると憂慮している。」
まずは、会長のスピーチから。
「チン民族記念日とは、チン民族が自分たちの望む政治体制についてはっきりと意見表明し、自ら決定した日を記念する日だ。つまり1948年2月20日、チン民族はそれまでの伝統的な封建的支配体制を自ら捨て去ったのである。
この決定にはピンロン協定にも関係しているから、チン民族にとってだけでなくビルマ現代史、ビルマ独立史、ビルマの民主主義の歴史にとっても大事な日だ。
チン民族はもともと自分たちだけの独立ではなく、連邦制を支持していた。ピンロン協定の1年前の1946年3月に、チン人はビルマ人政治家と話し合い、チン・ビルマ友好条約を結んでいる。
それゆえ、チン民族記念日が記念するチン民族の自己決定とは、非封建的な政治体制を求めたこと、そして、ビルマ連邦のひとつとしてチンランドに暮らすことの二つであり、こうした意志がビルマ独立以前から存在したことを再認識するのがこの記念日の意義なのである。」
次に、この記念日にあわせて発表されたCNC-Japan声明の要約。
「CNC-Japanは次の7点の宣言を行う。
1) チン民族はビルマ連邦内において自己決定権を有し、また他の民族と同等の権利を有する。
2) 異国で働いていたり、難民として暮らすチン民族もまた、チンランドに暮らす権利を有する。
3) ピンロン協定の精神の実現を求める。
4) 反軍事政権の立場を取り、民主化を求める。
5) 軍事政権、国民民主連盟、少数民族指導者の3者協議の早期実現を求める。
6) 政治囚の即時釈放を求める。
7) 2008年憲法を承認せず、2010年の選挙の実施により連邦制が崩壊するおそれがあると憂慮している。」

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